過剰な何か

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年金事務所窓口相談担当 - 藤尾
2023/03/24 (Fri) 20:29:06
年金事務所の今日の担当は、中年の女性だった。見るからに賢そうで温和な雰囲気を湛えている。
「今日は、老齢年金の繰り上げ支給の件で来ました。65まできっちり働くつもりでしたが、病気になりまして、少し早いのですが受給することにしました」
と言うと、彼女は過不足無くテキパキと繰り上げに伴うデメリットなどを説明した上で、
「今繰り上げで早めに受給し始めると、80.5歳が分岐点になります。それまでは、繰り上げ受給はお得です。それ以降も受給が続く場合、徐々に損になってきます。でも、もっとも男性の平均寿命がそれぐらいですから、早めの受給は大いにアリだと思います。」
と、優しく言ってくれる。ちょっと感動する。
私が受給する年金は、私が積み立てたものから出るのではなく、現在の現役世代が収めている保険料が原資なのだというような野暮なことは言わないのがステキだ。

数か月前、特別支給の老齢年金の件で年金事務所に来た時、担当した若い女は恐ろしかった。木で鼻をくくったようなぶっきらぼうさで、
「繰り上げ受給をすると一生ずっと減額ですよ、よく考えてください!」
と、出来の悪い小学生を怒りつける出来の悪い新前教師のような調子で言い放って来た。なんでワイがここで怒られなきゃならないんだ?
まあ、この若い女の担当者は、今まで散々嫌なジジイを相手に、嫌な思いをしてきたんだろう。それに、各種説明や補足事項に関する説明も抜けがあったり間違えたりしている。たぶん、自分の仕事ぶりに自信が無くて、それを隠すためにこういう態度になってしまっているんだろう…。

それと比べて、同じ年金事務所窓口担当でも、今日の女性の気遣いや勘の良さは素晴らし。
「ご病気だそうですね。今まで毎月かなりの額を、長年にわたって収めてこられたのですから、少なくとも80.5歳までは、しっかり受給できるよう、お体をお大切になさってください。」
優しくそう言われて、胸が詰まってうつむいてしまった。(自分の余命は、あと…。とてもそこまでは…)
「今まで、それなりのお立場にいらっしゃったと思いますが、ご退職なされて、今はやっと少しは落ち着いた毎日をおくられていらっしゃいますか?ご闘病に専念できるといいですね」
ここまで言われて、窓口でポロポロ涙が流れてしまった。
「とても判りやすい説明で助かりました。企業年金連合会の件もご丁寧に教えていただきありがとうございます。」
とだけやっと言って、何度も頭を下げて窓口を離れた。
プロだ、プロフェッショナルの仕事は素晴らしい。
自分も、現役世代に極力迷惑をかけず、嫌な思いをさせないように接してゆきたい…なんて改めて思ったwww